介護経営実態調査について
<lang primary="ja"/>
参照資料
- 令和7年度 介護事業経営概況調査(概況結果)
- 令和7年度 介護事業経営概況調査結果の概要(案)
- 令和7年度 介護事業経営概況調査 参考資料
このコラムの目的
令和7年度「介護事業経営概況調査」を手がかりに、主要な在宅系サービス(訪問介護・訪問看護・居宅介護支援・看護小規模多機能型居宅介護)を中心に、
- 直近の収支差率(ざっくりの収益性)
- 前年との差分が示す“構造変化”の読み方
- 現場で起きやすい論点(採用費・移動・減算等)
を、外部公開向けに整理します。
調査の前提(最低限)
- 調査時期:令和7年5月(令和5年度決算・令和6年度決算を調査対象)
- 収支差率:おおむね「(収入−支出)÷収入」で、黒字/赤字の大きさを相対的にみる指標
1. まず押さえるべき“収支差率”の読み方
- 収支差率は「平均」だけを見ると見誤ることがあります。
- 同じサービスでも、規模・人員体制・地域性・算定加算・訪問効率などで分布が広くなりやすいからです。
- そのため、
- 平均(ベンチマーク)
- 分布(黒字・赤字の割合)
- 前年との差分(構造的な変化が起きていないか)
をセットで見るのが基本です。
2. 訪問介護
ベンチマーク(令和6年度決算)
- 収支差率(税引前・補助金込み):9.6%
“前年と違う”が示すこと(所感)
- 参考資料では、訪問介護の収支差率分布において、平均が上昇した時期が示されています(R4決算→R5決算で平均が 7.8% → 11.1%)。
- ただし訪問介護は、制度要因・オペレーション要因の影響が大きく、特に「同一建物減算」のような減算の有無で差がつきやすいことが示唆されます(減算区分別の収支差率が提示)。
現場論点(実務に落とす)
- 収益性を左右しやすい変数
- 訪問密度(1日の訪問件数、空き時間)
- 移動時間(エリア設計・ルート)
- 人員の固定化(欠勤時の穴埋めで残業が増える)
- 同一建物減算など制度要因
3. 訪問看護(介護保険部分を中心)
ベンチマーク(令和6年度決算)
- 収支差率(税引前・補助金込み):10.3%
“前年と違う”が示すこと(所感)
- 訪問看護は、採用・派遣・外注といった「人材確保コスト」が出ると、損益を押し下げやすい構造がデータ上も読み取れます(参考資料に派遣委託費・人材紹介手数料の状況が掲載)。
現場論点(実務に落とす)
- 収益性を左右しやすい変数
- 体制(オンコール・緊急時対応・重症度の受け方)
- 訪問単価(医療/介護の構成、加算の取り方)
- 採用コスト(紹介手数料・派遣)
- 記録・請求の間接時間
4. 居宅介護支援
ベンチマーク(令和6年度決算)
- 収支差率(税引前・補助金込み):6.2%
“前年と違う”が示すこと(所感)
- 訪問系と比べると収支差率は中位水準で、劇的に高収益になりにくい一方、
- 人員不足
- 事務負担
- 採用費
の影響で利益が削られやすいサービスでもあります。
現場論点(実務に落とす)
- カギは「生産性(1人あたり担当件数)×品質(監査・事故リスク)」の両立です。
- 事務作業の集約・標準化(書類、加算、請求)で収益性が変わりやすい領域です。
5. 看護小規模多機能型居宅介護(看多機)
ベンチマーク(この資料での扱い)
- 参考資料に費用構造(派遣委託費、人材紹介手数料等)などの関連指標は掲載されています。
- 一方、概況結果PDF(r07_gaikyoukekka.pdf)から「前年との差(収支差率の増減)」を正確に転記するには、該当表が判読可能な形での参照が必要です(後述)。
“前年と違う”が示すこと(所感)
- 看多機は、人員配置要件と稼働のバランスが非常に繊細で、
- 稼働率の数ポイントの変動
- 夜勤体制の乱れ
- 離職・採用費
が、そのまま損益に跳ねやすい構造です。
現場論点(実務に落とす)
- 見るべきは「稼働率」だけではなく、
- 人員体制(夜勤・オンコール)
- 派遣/紹介等の追加コスト
- 残業
を同じ指標群で並べて追うことです。
6. まとめ
- 在宅系サービスは、国の平均値だけを見るよりも、
- 制度(減算・加算)
- 人材確保コスト
- 訪問効率(移動時間・密度)
といった“構造要因”で前年差が出やすい領域です。
- 「前年差が出た=努力の成果」と短絡せず、どの構造要因が動いたのかを分解して読むと、次の一手が具体化します。