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リーダーシップとマネージメント

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「ボスになるな、リーダーになれ」——トヨタ自動車の豊田章男会長のこの言葉と、経営学が語る「リーダーシップとマネジメントの違い」。切り口はまったく違うのに、どちらも同じ問いに行き着きます。人は、何によって動くのか。

「ボスになるな、リーダーになれ」——豊田会長の言葉

2020年、トヨタ自動車の労使協議会。テーマは「若手の退職」と「素直に言いたいことが言えない職場風土」でした。上司の評価に怯える組織には未来がない——そんな率直な議論の中で掲げられたのが、「ボスになるな、リーダーになれ」 というメッセージです。あわせて語られたのは、「虹」を見せるリーダーに、という言葉。雨の日にも、その先にある希望を自ら示して人を導く存在であれ、という意味です。
ボスとリーダーの違いは、古くから次のように対比されてきました。
ボスリーダー
権限と恐怖で人を動かす信頼と共感で人が動く
「行け」と命じる「行こう」と誘う
失敗の犯人を探す失敗から学びをつくる
部下を「駒」として見る一人ひとりの可能性を見る
自分の評価を守るメンバーの成長を守る
つまりこれは、役職の話ではなく「人との関わり方=あり方」の話です。同じ役職でも、ボスにもリーダーにもなり得ます。

リーダーシップとマネジメントは何が違うのか

一方、経営学では「リーダーシップ」と「マネジメント」は昔から区別されてきました。代表的な定義を並べてみます。
ピーター・ドラッカー:マネジメントとは物事を正しく行うこと。リーダーシップとは正しいことを行うこと。
スティーブン・コヴィー:マネジメントは成功のはしごを効率よく昇ること。リーダーシップは、はしごを掛け違えていないかを判断すること。
ジョン・コッター:リーダーシップは変化に対応するもの。マネジメントは複雑さに対応するもの。
整理すると、こうなります。
リーダーシップマネジメント
役割進む方向(ビジョン)を示すビジョンに向かう仕組みを整え、管理する
得意なこと変化・変革安定・効率
問い「そもそも、どこへ向かうべきか?」「どうすれば確実に、うまくやれるか?」
例えるなら地図とコンパスエンジンと計器
大切なのは、これは優劣ではないということです。コッターが言うように、リーダーシップとマネジメントは別々の個性を持ちながら、互いを必要とする両輪です。方向だけ示して仕組みがなければ組織は空回りし、仕組みだけあって方向がなければ組織は硬直します。

2つの話は、切り口がまったく違う

ここで面白いのは、この2つの対比が別の軸の話だということです。
  • ボス/リーダー は、「人とどう関わるか」という あり方(Being) の軸
  • リーダーシップ/マネジメント は、「組織に何をもたらすか」という はたらき(Doing/機能) の軸
この2軸を掛け合わせると、見え方が変わります。
ボス的に行うと…リーダー的に行うと…
マネジメント監視・詰問・ノルマ管理。数字は合っても人が疲弊する仕組みで人を支える。計器は「責める道具」ではなく「一緒に見る道具」になる
リーダーシップ「俺についてこい」の強引な牽引。依存とイエスマンを生む虹(希望)を見せ、一人ひとりの意志を引き出す。人が自ら動き出す
つまり、マネジメント(管理業務)そのものが悪いのではなく、それを「ボスとして」やるか「リーダーとして」やるかで、まったく別物になる——ここが2つの切り口が交わるポイントです。

明日から使える、自分への問い

  • 今日の自分は「行け」と言ったか、「行こう」と言えたか?
  • 数字や計器を、人を責めるために使っていないか? 一緒に現在地を見るために使えているか?
  • 「正しく行うこと」に忙しくて、「正しいことは何か」を問う時間を失っていないか?
  • メンバーが失敗を報告しに来たとき、最初に返した言葉は何だったか?
組織に必要なのは、完璧なボスでも、カリスマだけのリーダーでもありません。リーダーのあり方で、リーダーシップとマネジメントの両輪を回す人。豊田会長の言葉が多くの人に刺さったのは、役職や立場に関係なく、誰もが今日からその一歩を選べるからではないでしょうか。そして、リーダーには、リーダシップとマネージメントの両方を求めてしまいますが、両方の能力を兼ね備える事は難しい事が多いのではないでしょうか。

参考