転倒・転落の予防と対応|安全と、その人らしい暮らしを支えるために
転倒が心配なご本人・ご家族、介護に関わる皆さまへ。株式会社やさしい手諏訪が大切にしている、転倒予防と暮らしを支える考え方をご紹介します。
安全も、「自分らしく暮らすこと」も、どちらも大切に。
- 予防する: 体調や生活環境を確認し、防げる危険を減らします。
- 暮らしを支える: 転倒が心配だからといって、動く機会を一律に制限しません。
- 一緒に考える: ご本人の希望と、ご家族・職員の心配を共有し、その方に合った支援を考えます。
転倒を完全になくすことが難しい場合もあります。だからこそ、危険を放置せず、安全と活動の両立を目指します。
知りたいところからお読みください
- 施設の考え方を知りたい方: 「私たちが大切にする考え方」「身体拘束に頼らず、活動と安全の両立を考えます」へ。
- 予防の工夫を知りたい方: 「転倒を減らすために行うこと」へ。
- ご家族として相談したい方: 「ご本人・ご家族・職員で共有したいこと」へ。
- 転倒後の対応を知りたい方: 「転倒が起きたとき」へ。
下の目次から、各項目に移動できます。
私たちが大切にする考え方
転倒は、筋力やバランス、視力、病気、薬、認知機能、環境など、いくつもの要因が重なって起こります。高齢の方では、予防の工夫をしていても、転倒を完全になくすことが難しい場合があります。転倒によって骨折や頭部のけがが生じ、生活機能や生命に影響する可能性もあります。こうしたリスクを軽く考えることはありません。[1]
だからこそ私たちは、転倒を防ぐ取り組みと同時に、ご本人の生活機能や生活の質を保つための活動・ケア・リハビリテーションを大切にします。活動を続けることで転倒の機会が増えることはありますが、転倒の危険だけに注目して活動を一律に止めるのではなく、その方にとっての利益とリスクを見ながら支援を考えます。[1]
運動や活動が心身の機能や生活の質を支えること、また一部の研究で運動介入による転倒や死亡の減少が示されていることは報告されています。ただし、「たくさん動けば必ず寿命が延びる」と言い切ることはできません。転倒による重いけがや死亡を望ましい結果として扱うこともありません。私たちが目指すのは、危険を放置することではなく、できる限りの予防を行いながら、ご本人の尊厳と望む暮らしを支えることです。[1]
身体拘束に頼らず、活動と安全の両立を考えます
私たちは、身体拘束を行わないことを原則とし、転倒への不安だけを理由に、ベッドや車いすから動けないようにしたり、必要な活動を不必要に制限したりしないことを大切にします。活動を控え続けることは、筋力や移動能力、生活の張りを損なうおそれがあるためです。身体拘束や行動制限を検討する前に、痛み・排泄・不安など動きたい理由を確かめ、環境や関わり方、見守り、福祉用具など別の方法をチームで考えます。[1]
「動かないでください」と一律に止めるのではなく、「どこへ行きたいですか」「一緒に行きましょう」など、ご本人の思いを確かめ、必要な支援につなげます。支援の方法は、ご本人の状態や希望に応じて個別に検討し、状態の変化に合わせて見直します。
転倒を減らすために行うこと
転倒の原因や必要な支援は一人ひとり異なります。ご本人の状態や生活歴、希望を確認し、関係する職員が連携して、状況に応じた取り組みを行います。
- これまでの転倒、歩行や立ち上がりの状態、体調、痛み、認知・視聴覚の状態などを確認します。
- 履物、動線、照明、手すり、ベッドや椅子の高さ、歩行補助具など、生活環境を確認・調整します。
- 排泄、睡眠、食事や水分、服薬など、転倒につながる可能性のある要因を確認し、必要に応じて医療職等と相談します。
- ご本人の状態や目標に合わせて、移動・運動・リハビリテーションなどの活動を支援します。
- 転倒や体調の変化があったときは、原因や支援方法を振り返り、必要に応じてケアの内容を見直します。[1]
ご本人・ご家族・職員で共有したいこと
転倒予防の工夫をしても、転倒が起こる可能性は残ります。施設入所者を対象とした複数の研究をまとめた資料では、100人規模の施設で、1年間に約40人が転倒し、そのうち約10人に骨折などの傷害がみられたという報告があります。これは研究対象や施設によって異なる参考値であり、個々の方の転倒やけがを予測する数字ではありません。[1]
大切なのは、転倒の危険性だけでなく、ご本人が続けたい生活や活動、必要な支援、転倒した場合の対応について、事前に話し合っておくことです。ご家族には、ご本人が大切にしてきた暮らしや習慣、これまでの転倒・体調変化、希望や心配ごとをお聞かせいただけると、支援を考えるうえで助けになります。職員は、評価したリスクや予防策、転倒時の連絡・対応方法をわかりやすく説明します。
この情報共有は、転倒を仕方のないこととして放置したり、施設の責任を免れたりするためのものではありません。私たちは、予防できる危険を減らす努力を続け、転倒が起きたときには状況を確認し、必要な対応を行い、今後の支援に活かします。転倒が起きたことだけで過失の有無を決めつけるのではなく、個々の状況を確認し、予防策や対応が適切だったかを検証することが重要です。[1]
転倒が起きたとき
転倒後は、ご本人の状態やけがの有無を確認し、必要に応じて医療職・医療機関に相談します。ご家族への連絡、状況の記録、職員間での共有を行い、転倒の背景や予防策を振り返ります。頭部を打った場合や痛み・意識・体調に変化がある場合などは、状況に応じて医療的な判断につなげます。具体的な対応は、ご本人の状態や施設の手順に沿って行います。[1]
ご本人にとって何が大切かを中心に、ご家族と職員が不安や希望を率直に話し合い、支援方法を一緒に見直していきます。
参考資料
本ページは、一般社団法人日本老年医学会・公益社団法人全国老人保健施設協会の資料を参考に、株式会社やさしい手諏訪の考え方をまとめたものです。[1]