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採用×定着・次世代リーダー(やさしい手諏訪)
テーマ:① 採用〜入職後3ヶ月の定着を一体で設計する ② 次世代リーダーの採用・育成と課題
Session 1ページ要約(結論先出し)
- 採用は「内定がゴール」ではなく「入職後90日が最初の節目」 — 採用・面接・受け入れ・育成を一本の線でつなぐ。
- 面接は“見極め”より“相互理解” — 大変さを先に伝え、ミスマッチを入口で減らす。
- 入職後90日を3段階で設計 — 不安と詰まりを毎週可視化し、早期離職を防ぐ。
- 次世代リーダーは「役割 → 育成 → 評価 → 権限」の順で段階的に移譲 — 押しつけず、不安・負担の除去から始める。
会社紹介(30秒)
- 地域:長野県 諏訪圏域
- 事業:在宅系サービス(訪問介護/訪問看護/居宅介護支援/看護小規模多機能 等)+ 住まい(サービス付き高齢者向け住宅)
- 設立:2014年3月(やさしい手フランチャイズ加盟)
- 背景:人口減・採用難・職員の高齢化 → 「採る」だけでなく「続く仕組み」が経営の生命線
① 採用について
採用〜入職後3ヶ月の定着を「一体設計」する
なぜ「採用〜90日」を一体で設計するのか
- 離職の多くは 入職直後〜90日 に集中する。
- この時期に起きやすいこと:
- 期待値のズレ(業務量・職場文化・人間関係)
- 「質問できない」「評価が見えない」という不安
- 移動・記録・生活リズムなど、現場特有の負荷
採用を 「内定=ゴール」ではなく「90日=最初の節目」 と定義し直すと、面接・受け入れ・育成の打ち手が一本につながる。
全体像:採用〜90日を1本の線でつなぐ
| フェーズ | ねらい | 主な打ち手 |
|---|---|---|
| 面接 | 相互理解・ミスマッチ防止 | 不安の先出し、見学・体験、90日プランの共有 |
| 内定〜初出勤 | 温度を下げない | 受け入れ窓口の一本化、初日案内、入職前の質問導線 |
| 入職後0〜90日 | 安全・独り立ち・質の基準 | 段階的オンボーディング、週次15分、30/60/90日面談 |
効果が確認できた取り組み①:面接設計(相互理解)
面接の目的を「選ぶ」から「合う/合わないを一緒に確かめる」へ
- こちらが確認すること(例)
- 価値観:利用者中心の姿勢/チームで学ぶ姿勢
- 働き方:移動・記録・夜間/オンコールの現実理解
- 相手にも確認してもらうこと(例)
- 1日の流れ、教育体制、評価の考え方
- 工夫
- 不安の先出し:大変な点も最初に言語化する
- 見学+短時間の同行・体験(可能な範囲で)
- 入職後90日プランを面接で共有(安心材料になる)
効果が確認できた取り組み②:内定〜初出勤(温度を下げない)
- 内定後の連絡を「事務連絡」だけで終わらせない。
- 具体策(例)
- 初日の持ち物・服装・集合場所を 1枚で案内
- 受け入れ担当(窓口)を 1人に固定 し、迷子にしない
- 入職前に「聞きたいこと」を出せる導線(社内ルールに準拠)
ねらいはシンプル —— 「初出勤の当日まで、ひとりにしない」
効果が確認できた取り組み③:入職後90日オンボーディング
90日を3つに分けて設計する
| 時期 | 到達イメージ |
|---|---|
| 0〜2週 | 安全・基本動作(記録、報連相、事故防止) |
| 3〜6週 | 独り立ちの範囲を明確化(できること/まだしないこと) |
| 7〜12週 | 質の基準(ケアの判断、多職種連携、改善提案) |
運用の型(例)
- 週1:15分の定点チェック(不安・詰まりの可視化)
- 30/60/90日:面談(評価より“すり合わせ”中心)
- メンター/プリセプター:役割を明確にして属人化を減らす
効果が確認できた取り組み④:早期離職を防ぐ“関係性”
- 早期離職の理由は「業務」より「関係性・不安」であることが多い。
- 現場で効いたこと
- 質問のハードルを下げる仕組み(聞き方の型、時間枠の確保)
- “できている”を言語化するフィードバック
- 対立が起きた時は NVC(非暴力コミュニケーション) で対話
- 観察(事実)→ 感情 → ニーズ → リクエスト の順で整理
採用の課題(正直に)と次の一手
| 課題 | 次の一手 |
|---|---|
| 地域の母集団が小さい(人口動態) | 新卒・奨学金パイプライン、リファラル、保有資格者への直接アプローチを強化 |
| 応募〜面接の取りこぼし | 初回連絡を素早く・面接設定を迅速に(リードタイムを運用ルール化) |
| 受け入れが属人化しやすい | オンボーディングのチェックリスト化・90日設計の標準化 |
| 定着が「個人の頑張り」依存 | 採用〜定着KPIを可視化し、チームの仕組みとして運用 |
② 次世代リーダーについて
幹部候補の採用・育成と課題
基本方針:「抜擢して終わり」にしない
- 幹部候補は、研修だけでなく 日々の現場・会議・プロジェクト・対話の中で育てる。
- 「管理職になりたい人」だけでなく、現場で影響力を持つ人 も対象に含める。
- 自律分散型(DXO)を志向し、現場で自律的に判断・対話・改善できる人材 を増やす。
めざす状態:代表・一部の管理者への依存を減らし、会社全体の意思決定力を高める。
なぜ今、次世代育成が必要か
- 職員の高齢化が進み、世代交代 が中期の経営テーマになっている。
- 既存事業の安定運営に加え、新規事業を担える人材 が必要。
- 管理者・リーダーが疲弊する構造を避け、「管理職になりたい」と思える組織をつくる。
- 将来の役員・経営チーム候補を 社内から 育てたい。
幹部候補に必要な5つの力
| 力 | 内容 |
|---|---|
| 理念を体現する力 | 経営方針・価値観を日々の判断に落とし込む |
| 人を育てる力 | 強みを見つけ、1on1・OJT・フィードバックで成長を支援する |
| 対話・合意形成の力 | NVC/レゾナント・コミュニケーションで衝突を安全に扱う |
| 数字で見る力 | 稼働率・離職率・収支などから打ち手を考える |
| 仕組みにする力 | 属人的な頑張りを、再現できるフロー・ルールに変える |
育成の進め方:段階的な権限移譲
「役割 → 育成 → 評価 → 権限」の順で、小さな成功体験を積みながら移す
- 見学 → 副担当 → 主担当 と段階を踏む。
- 最終責任(A)は 押しつけず、合意ベースで段階的に 移譲する。
- 共通プログラム:経営方針対話/マネジメント基礎/数字の見方/改善プロジェクト実践。
- 会議体:月1回の候補者ミーティング+四半期の個別育成面談で、負担感と納得度を確認。
3層で育てる
| 区分 | 到達目標 | 育成期間の目安 |
|---|---|---|
| リーダー候補 | 小チーム・委員会・OJTを任せられる | 約1年 |
| 管理者候補 | 部門運営・人材育成・KPI管理を一部担える | 2〜3年 |
| 経営幹部候補 | 全社横断の意思決定・新規事業・経営改善を担える | 3〜5年 |
課題①:本人が「前向きでない」ことがある
- 候補者の中には、現時点で管理職・幹部職に前向きでない人もいる。
- 私たちのスタンス:
- 「幹部候補だからやってください」と 押しつけない。
- まず 何が不安か/何なら関われるか を聴く。
- 管理職への抵抗感を 本人の弱さではなく、組織側の設計課題 として扱う。
役割を渡す前に、不安と負担の除去 から設計する。
課題②〜④:現場と仕組みの壁
| 課題 | 対応策 |
|---|---|
| 候補者に負担が集中する | 通常業務を調整し、任せる範囲を限定。四半期面談で負担感を確認 |
| 現管理者が役割を手放せない | 移譲範囲を明確化し、小さく任せる。失敗を責めず学習に変える |
| 研修だけで終わってしまう | 改善プロジェクト・会議参加・OJTを必ずセットにし、実践を評価 |
| 選抜が不公平に見える | 自薦・他薦・推薦を併用し、選抜理由と育成機会を透明化 |
いちばんの課題(本音)
- 「育成の連鎖」をどうつくるか。
- 育てた人が、次のリーダーを育てる側に回れるか。
- 時間軸との戦い。
- 世代交代の本格化に、育成のスピードを間に合わせられるか。
- 「管理職=大変」のイメージをどう変えるか。
- 疲弊した管理職像を見せず、支援・相談の導線を整えられるか。
まとめ:採用も育成も「仕組み×対話」
- 採用:内定で終わらせず、90日で迎える。面接は相互理解、受け入れは属人化させない。
- 育成:押しつけず、段階的に。不安の除去から始め、役割→育成→評価→権限の順で移譲。
- 共通する土台は、心理的安全性とNVC(対話)、そして 個人の頑張りを“仕組み”に変えること。
最後に問い続けたいこと —— 「その選択をしたとき、自分たちが納得でき、職員が幸せでいられるか?」
ご清聴ありがとうございました。 株式会社やさしい手諏訪 花岡 邦浩