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認知症を知る|本人と家族のためのやさしい入門
認知症になっても、その人はその人です。 できないことだけを見るのではなく、今の気持ち、できること、望んでいる暮らしに耳を傾けることから始めます。
認知症とは
認知症は、さまざまな病気によって脳の働きが変化し、記憶・判断・言葉などの認知機能が低下して、日常生活に支障が生じている状態です。年齢を重ねれば誰にでも起こる「自然なもの忘れ」とは異なり、年齢だけで決まるものでもありません。
症状や進み方、困りごとは一人ひとり違います。認知症という診断だけで、その人の考えや感情、できることまで失われるわけではありません。
まず知ってほしい3つのこと
基本は「超傾聴」
ここでいう超傾聴とは、言葉を聞くだけでなく、表情、声の調子、しぐさ、沈黙、繰り返される行動まで含めて、その人が伝えようとしていることを受け取ろうとする姿勢です。
- 止まる
- すぐに訂正や説得をせず、まず自分の呼吸と声の調子を整えます。
- 近づき方を選ぶ
- 正面から、目の高さを合わせ、名前を呼び、急に触れません。
- 短く、ひとつずつ伝える
- 質問や選択肢を重ねず、返事を待ちます。
- 事実より気持ちを受け取る
- 「違います」より「心配なのですね」「帰りたい気持ちなのですね」と返します。
- 分かったつもりにならず確かめる
- 「こういうことで合っていますか」と、本人の反応を見ながら確かめます。
正しいことを言い聞かせるより、安心して話せる関係をつくる。認知症の有無にかかわらず、コミュニケーションの基本は同じです。
こんなとき、どうする?
「財布を盗られた」と言われた
- 避けたい対応:「誰も盗っていない」「また忘れたの?」と正面から否定する。
- まずできること:「財布が見つからなくて心配なのですね」と気持ちを受け取り、一緒に探す。
- その次に見ること: 置き場所を分かりやすくする、いつ・どこで起こりやすいかを確かめる。
同じことを何度も聞かれる
- 避けたい対応: 回数を指摘する、試すように質問する。
- まずできること: 初めて聞いたときのように短く答え、不安の理由を探る。
- その次に見ること: 予定を大きく書く、時計やカレンダーを見やすくする。
「家に帰る」と言われる
- 避けたい対応:「ここが家です」と言い争う、無理に引き止める。
- まずできること:「帰りたいのですね。家では何が気になりますか」と尋ねる。
- その次に見ること: 寂しさ、役割、時間帯、疲れ、排泄、空腹などの背景を確かめる。
受診・相談を考える目安
- もの忘れや判断の難しさが、生活や仕事、お金の管理、運転などに影響している
- 以前できていたことが難しくなった
- 本人や家族の不安・負担が大きくなっている
- 急に混乱した、急に様子が変わった
急な変化は「認知症だから」と決めつけないでください。 感染症、脱水、薬の影響、痛み、せん妄など、早い対応が必要な場合があります。急激な混乱、意識の変化、片側のまひ、ろれつが回らないなどがあれば、速やかに医療機関へ相談してください。
相談先
- かかりつけ医、もの忘れ外来、認知症疾患医療センター
- お住まいの地域の地域包括支援センター
- 自治体の高齢者福祉・介護保険の担当窓口
- 認知症の人と家族の会などの当事者・家族の相談窓口
家族だけで抱え込まないことも、大切な支援です。相談は「困り切ってから」ではなく、気になった時点でかまいません。
最後に
認知症への理解は、特別な対応方法を覚えることだけではありません。
その人を認知症というラベルで見ず、一人の生活者として知ろうとすること。
話を急がず、否定せず、その人の世界に少し近づいてみる。その小さな関わりが、本人の安心と、共に暮らせる地域をつくります。
参考となる公的情報
このページは一般的な情報を提供するもので、個別の診断や治療に代わるものではありません。