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これって身体拘束? 判断基準と記録の線引き(委員会 案)

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このページの使い方
現場から「これって身体拘束ですか」と聞かれたとき、この1枚で答える。
  • 判断は1つだけ:本人の行動の自由を制限しているか
  • 迷ったらグレーとして記録し、委員会に回す(現場で「該当しない」と決めない)
  • 身体拘束等に該当する場合は記録が必須
※本文は委員会で確定させる案です。判定例は運用しながら追記します。

1. 定義(ここだけは全事業所で揃える)

  • 身体拘束とは「本人の行動の自由を制限すること」。本人の行動を、当人以外の者が制限する行為。
  • 運営基準上の「身体的拘束等」=身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為。生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き行ってはならない。
  • 厚労省の11項目はあくまで例示。ここに載っていない行為も身体拘束になり得る。
  • 適正な手続きを経ていない身体的拘束等は、原則として高齢者虐待に該当する。

2. 判定は3つの問い(この順で聞く)

問いYes になる例
Q1 本人の意思に反しているか拒否を押し切った/説明していない/本人に確認せず家族の希望で決めた/「動かないで」と言われて従っている
Q2 行動の自由を制限しているか体を縛る・囲む・動きを妨げる/行き先を閉ざす/薬で動けなくする/言葉で動きを止める
Q3 何のためにやっているか安全確保のためか、業務の都合か(該当性は変わらないが、記録と解除の判断に使う)
判定の出し方:
  • Q1・Q2 とも Yes → 身体拘束等に該当。記録が必要。
  • Q1 が No(本人が自分で選び、説明して同意している)→ 原則該当しない。同意のやりとりを記録に残す。
  • Q2 が No(見守り・声かけ・環境調整のみ)→ 該当しない。
  • 判断がつかない → グレーとして記録し、委員会へ。「たぶん違う」で流さない。

3. 早見表:該当する/しない

3-1. 該当する(厚労省11項目)

#行為
1一人歩きしないように、車いす・いす・ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る
2転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る
3自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む
4点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢をひも等で縛る
5チューブを抜かない/皮膚をかきむしらないように、ミトン型の手袋等をつける
6車いすからずり落ちたり立ち上がったりしないように、Y字型拘束帯・腰ベルト・車いすテーブルをつける
7立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるようないすを使用する
8脱衣やオムツはずしを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる
9他人への迷惑行為を防ぐために、ベッド等に体幹や四肢をひも等で縛る
10行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる
11自分の意思で開けることのできない居室等に隔離する

3-2. 在宅・訪問看護でよく出てくる形(同じ物差しで見る)

  • 訪問中、点滴・CV・胃ろう・バルーンを抜かないように手を押さえる/ミトンを付ける
  • 車いすのテーブルで立ち上がりを止める
  • ナースコールを手の届かない所に置く、トイレに行かせない
  • 「動かないで」「ここに座ってて」を繰り返して動きを止める(スピーチロック)
  • 落ち着かせる目的で、主治医に鎮静系の薬を依頼する・増やしてもらう
  • 家族が留守中にベッド柵で囲う/部屋に鍵をかける/手を縛る(→ 4章)

3-3. 該当しない(誤解されやすい)

行為なぜ該当しないか
見守り・巡視・声かけ・体位変換動きを止めていない
離床センサー・見守りカメラ本人の動きを止めず、職員が気づくためのもの
手すり、床の安全確保、ベッドを低くする、マット・クッション環境調整
本人が自分で選んだ服装・鍵意思に反していない
創部のガーゼ固定、点滴のテープ固定治療目的で、動きを制限していない

3-4. グレー(記録して委員会へ)

  • ベッド柵1〜2本(自分で降りられる/本人の希望か、降りられないように囲んでいるか)
  • ミトン(本人が外せるか、目的がチューブ保護か皮膚保護か、それとも引っかき防止の体止めか)
  • ポジショニングベルト・車いすベルト(自分で外せるか、姿勢保持か転落防止か)
  • 車いすテーブル(食事用に置くだけか、立ち上がり防止か)
  • 離床センサー(鳴ったら体を押さえる運用になっていないか)
  • 夜間、家族が転落を心配して柵を追加する/施錠する

4. 在宅ならではの線引き(誰がやったかで分ける)

誰が扱いやること
職員事業所の身体拘束等3要件を確認し、記録。解除まで評価する
家族事業所の身体拘束等ではない事実を記録 → 理由をアセスメント → 代替策を提案 → ケアマネ・主治医・行政と共有。虐待の疑いがあれば相談・通報
本人自身の選択原則該当しない「本当に選べているか」を確認(選択肢を出したか、説明したか)。そのやりとりを記録
病院・施設からの引き継ぎ受け入れる前に確認退院時カンファで3要件を協議し、記録に残す。「指示だから」で継続しない
在宅でも身体拘束は確認されている。だからこそ、家族を責めるのではなく家族を支援する前提で動く。

5. 記録の線引き(ここで迷わない)

記録する
  • 該当すると判断した
  • グレーで迷った
  • 家族が行っていて、放置できないと判断した
  • 拘束をやめた・解除した
記録不要
  • 見守り・声かけ・環境調整のみで、行動の自由を制限していない
原則:迷ったら記録する。記録は職員を責めるためではなく、解除するために書く。

6. 記録に必ず入れる項目

  1. 拘束の方法(何を、どうやって)
  1. 時間帯と時間(開始・終了)
  1. 開始と解除の予定
  1. 理由(何を防ぐためか)
  1. 検討した代替策と、それが使えなかった理由
  1. 3要件(切迫性・非代替性・一時性)の判断
  1. 本人・家族への説明と同意(日時・相手・同席者)
  1. カンファレンスの日時・出席者・結論
  1. 拘束中の観察(皮膚・循環・気持ち・様子)
  1. 実施者氏名、解除した人

7. 委員会の運用(「言われたとき」の受け皿)

  • 現場は判定しない。迷ったらグレー報告を出す(口頭でよいが、記録に残す)
  • 委員会で「該当/非該当/条件付き該当(期限・解除条件つき)」の3つで判定する
  • 判定した事例はこのページの3-4に追記して、判定を揃えていく(属人化を防ぐ)
  • 記録様式は、やさしえ・かえりえ・訪看で同じ項目を使う(来年度の様式見直しの論点)
  • 研修の事例検討は、このページのグレー例を使う

8. よくある質問

Q. 離床センサーは身体拘束? A. 本人の動きを止めていないので原則該当しない。ただし「鳴ったら体を押さえる」運用になっていれば、押さえる行為が該当する。
Q. ベッド柵は? A. 自分で降りられる、または本人が希望しているなら該当しない。降りられないように囲むなら該当(11項目の3)。
Q. 家族が手を縛っている。うちの記録に入れる? A. 事業所の身体拘束等ではないが、事実・アセスメント・働きかけは記録する。虐待の疑いがあれば相談・通報。
Q. 本人が「縛ってほしい」と言った。 A. 意思に反していないので原則該当しない。ただし本心か、他に方法がないかを確認し、説明の経過を残す。
Q. 訪問中だけの短時間なら? A. 時間の長短は該当性を変えない。「一時性」は解除の見込みの話。
Q. 記録すると、うちの事業所が拘束しているとみなされない? A. 記録がない方が問題になる。手続きと代替策の検討が残っていることが適正化の証明になる。

出典

  • 厚生労働省「介護施設・事業所等で働く方々への身体拘束廃止・防止の手引き」(11項目・定義・在宅の扱い)
  • 社内:身体拘束の適正化(身体拘束ゼロ)研修資料(介護保険・必須研修)
  • 社内:虐待防止(全事業所共通)6-3 身体拘束の扱い
📄家族向けリスク説明書 7種(薬物・車いすベルト・施錠・4点柵・体幹抑制・つなぎ服・ミトン)2026/11/5 20:462026/11/5 20:46